日本国憲法第25条では、

「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上

及び増進に努めなければならない」と定められています。


健康で文化的な最低限度の生活とは、どんな生活か?

生活保護の支給金額から、その生活水準が読み取れます。

生活保護費の支給金額は、住んでいる地域や家族構成などの条件で異なります。

私の住む札幌市のHPに、モデルケースが記載されていたので引用します。


札幌市における生活保護モデルケース


     ↑ 画像をクリックすると拡大します。

単身世帯で11~12万円、高齢夫婦で15~17万円といった金額になります。

諸条件があるので、ここでは大雑把に単身12万円、夫婦17万円程度と捉えておきましょう。

この金額が、健康で文化的な最低限度の生活を営む為に必要な金額と言えます。

一方、以前にも紹介しましたが、現行の年金制度における
老齢年金の平均月額です。

<男性>
①国民年金 約5万5千円/月(主に自営業、個人事業主等)   
②厚生年金 約16万6千円/月(主にサラリーマン等)

<女性>
③国民年金 約5万5千円/月(主に専業主婦、家事手伝等)
④厚生年金 約10万2千円/月(主にサラリーマンOL等)

<年金のモデルケース>
②と③の組合せ 約22万1千円/月



それでは、老齢年金で生活保護水準の生活が可能か確認していきます。
(物価上昇等外的な要因はないものとした単純計算です)


◆国民年金(①③の場合)

単身者で比較すると、国民年金の支給額は生活保護費の半分に過ぎません。

国民年金の単身者が、生活保護水準の生活(月12万円程の生活)をする為には、

年間78万円の補填が必要となります。

65歳までに準備すべき老後資金は、

単純計算で
・90歳まで生きると仮定(25年)  
 78万円✕25年=1950万円

・100歳まで生きると仮定(35年)
 78万円✕35年=2730万円

約2000~3000万円の老後資金が必要となります。

逆を言えば、老後資金が2000万円~3000万円あっても

健康で文化的な最低限度の生活しかできないことになります。

自営業者、個人事業主、フリーランス、アルバイター、ニート等

現行の年金制度では、厳しい老後が予想されます。


◆厚生年金(②④の場合)

男性の場合は、生活保護費を上回っており、

特に老後資金がなくても、健康で文化的な最低限度の生活は可能でしょう。

女性の場合は、平均値で若干下回っています。

仮に月2万円(年間24万円)補填すると、

単純計算で
・90歳まで生きると仮定(25年)  
 24万円✕25年=600万円

・100歳まで生きると仮定(35年)
 24万円✕35年=840万円

月2万円の補填でも、結構な老後資金の額になります。


◆年金のモデルケース(②+③の組合せ)

生活保護費を上回り、問題なく健康で文化的な最低限度の生活ができます。


◆モデルケース以外の組合せ

>夫婦ともに国民年金(①+③)

合計額が11万円/月となり、生活保護費17万円/月を下回ります。

1ヵ月の補填費用は、単身で6.5万円で算定しましたが、ほぼ同額の補填が必要となります。

やはり2000万円~3000万円の老後資金が必要となります。

>夫婦ともに厚生年金(②+④)

合計額が26万8千円/月となり、問題なく生活保護水準をクリアーします。


<最後に>
老後生活を考えた場合、生活保護の生活水準は意外と高く感じます。

政府もそう感じているのでしょう。

現在、生活保護費の削減を手掛けています。

しかし、これは間違った判断です。

国民年金の水準が、余りにも低すぎる方が問題なのです。

単身者の国民年金は、生活保護費の約半分です。

生活保護を受けずに自立する為には、2000~3000万円の老後資金が必要です。

その資金ありきで、生活保護と同等の生活水準なのです。

年金制度の設計自体に問題があります。

また年金生活に関しては、単身よりも夫婦の方がファイナンシャル面で優位に思えます。

結婚せずとも、パートナーと互いの年金を工面し生活するのも、一つの方策かと思われます。

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